散歩中に出会う植物が「物語」になるWEBサービス「Plantour」を作りました
「この花、なんて名前だっけ?」と調べても、名前と写真を見て終わり。 次の日にはもう忘れている――。
植物の名前って、図鑑やGoogleで「点」として覚えてもなかなか定着しません。 でも 「進化の歴史のどこにいるのか」「同じ仲間にはどんな植物がいるのか」「似た形の他人がなぜ別の科なのか」 といった物語の中に置くと、急に頭に残るようになります。
そんな「学習者が自分の中でストーリーを編める植物図鑑」を目指して、日本でよく見かける植物を 分類体系・進化史・検索表・クイズ・3Dモデル の5つの導線でつないだWEBサービス Plantour(プランツアー) を作りました。(現在は約500種を用意)
完全無料・登録不要・スマホ対応・日本語/英語切替対応。お子さんの自由研究や、親子の散歩のお供にもおすすめです。

ウリは「横断して読める」こと
Plantour の一番の特徴は、個別の種・進化史・分類体系がすべてリンクで繋がっていることです。
- 散歩で見つけた アサガオ の種ページを開く
- 「ヒルガオ科」をタップすると、同じ科の仲間(ヒルガオ・サツマイモ)が並ぶ
- そこから 分類体系の樹形図 へ飛ぶと、ヒルガオ科がナス目の中でどこに位置するかが見える
- さらに 進化史タイムライン で「真正双子葉類が分岐した時期」が確認できる
こうやって自分の興味のままに横断していくうちに、「アサガオはサツマイモの親戚」「ナス目の中に意外と知ってる花が多い」といった自分だけの記憶のフックが出来上がっていきます。
教科書のように上から順に教わるのではなく、好奇心の赴くままに枝分かれしながら読める――これが Plantour のウリです。
機能紹介
1. 🧊 3Dモデルで標本を360°観察
九州大学が公開している CC0ライセンスの植物標本3Dモデルを、種ページ・クイズの両方でマウスで自由に回転・拡大できます。
平面の写真ではわからない、葉の付き方・茎の質感・花の立体構造を、まるで実物を手に取っているように観察できます。子どもがゲーム感覚でぐるぐる回して遊ぶうちに、植物の形を覚えてしまう――そんな使い方ができるのは、おそらく国内の植物学習サイトでも珍しいはずです。

2. 植物クイズ — 写真 or 3Dモデルで同定に挑戦
学んだ知識を試せるクイズモードがあります。
- 📷 写真モード:Wikimedia Commons の複数画像から植物を当てる
- 🧊 3Dモデルモード:標本を360°回しながら同定する(こちらが特におすすめ!)
回答は検索表と同じUIで、葉の特徴・花の特徴を答えていって絞り込みます。正解しても不正解でも、その植物のページに飛んで詳しく学べるので、間違えるたびに知識が増えていきます。

3. 分類体系ビュー — D3.jsの樹形図でAPG IVを俯瞰
植物界全体をインタラクティブな樹形図で表示します。マウスホイールでズーム、ドラッグで移動。深く潜ると目→科→属→種と細かく見えていきます。「樹形図」と「階層リスト」をワンクリックで切り替え可能。
「今見ている雑草の親戚を探す旅」がここから始められます。


4. 進化史タイムライン — 4億年を1スクロールで
シダ植物の出現、裸子植物の分岐、被子植物の爆発的多様化…植物の進化の主要なイベントを時系列で並べました。
「いま自分が見ている雑草が、恐竜より古いのか新しいのか」が直感でわかるので、子どもに「これはティラノサウルスよりずっと前からあるんだよ」と話してあげると驚いてくれるかも知れません。

5. 植物検索表(key) — 質問に答えて種を絞り込む
葉の形は?花の色は?花弁の数は?――昔ながらの二分検索キーをWebで実装しました。種子植物(被子・裸子)が対象で、答えを進めるごとに候補が絞られていきます。
自由研究で「この花は何?」を調べる手段として活用できる機能を目指しています。

6. 植物一覧・種ページ — タグ検索と豊富な情報
499種すべてに、和名・学名・科・特徴・生育環境・季節・複数の写真が登録されています。タグ(木本/草本/常緑/落葉/湿地/高山 など)で素早く絞り込めます。
それぞれの種ページでは、Wikimedia Commons から取得した写真ギャラリー、識別ポイント、生育環境、季節、関連タグ、そして同じ科のページへのリンクが揃っています。


7. 日本語 / 英語切替
すべての画面が日英バイリンガル対応です。和名・学名はもちろん、特徴の説明文や検索表の質問まで、ナビゲーションの 🌐 JA/EN ボタンでワンクリック切替できます。英語学習中のお子さんが、植物と一緒に英単語を覚えるのにも使えます。

こんな人におすすめ
- 🌱 散歩や登山が好きで、見かける植物の名前を知りたい人
- 👧 子どもの自由研究・夏休みの宿題のお供がほしい親御さん
- 🎓 生物の授業で植物分類を勉強中の中高生
- 🌍 英語と植物学を同時に学びたい人
- 🧬 APG分類体系や植物進化に興味のある大人
技術スタック
- Next.js 16(App Router、output: export による静的サイト生成)
- TypeScript / Tailwind CSS
- D3.js(分類体系の樹形図)
- Sketchfab Embed API(九州大学の CC0 3Dモデル)
- Wikimedia Commons API(種の画像取得)
- ホスティング: Vercel
データは APG IV 分類体系 と YList(植物和名学名インデックス)を参照しながら整備しました。
さいごに
正直に言うと、植物のことはそこまで詳しくありません。開発者である僕自身が「覚えられない側」の人間です。
散歩中に気になった花の名前を調べても、翌日にはもう忘れている。図鑑を開いても、似たような花が並んでいるだけで頭に入らない。――でも「この花は恐竜より前からいるらしい」「あの雑草とサツマイモが親戚だって?」と知った途端、急に忘れられなくなる瞬間がありました。
点で覚えた知識は消えるけれど、物語の中に置いた知識は残る。
Plantour はその体験を、誰でも・無料で・スマホひとつで味わえるようにしたくて作りました。分類体系、進化史、検索表、3Dモデル、クイズ――どの入口から入っても、いつの間にか隣の部屋に迷い込んでいるような、そんな「知の迷路」を目指しています。
まだ499種、まだまだ粗削りです。でも、使ってくれた誰かの散歩が、ほんの少しだけ冒険に変わったら、それだけで作った甲斐があります。
明日の帰り道、足元の雑草をひとつだけ調べてみてください。きっと世界の見え方が変わります。
🔗 使ってみる: https://plantour.app/
感想・バグ報告・「この種を入れてほしい」リクエストなど、コメントでぜひ教えてください。一緒に植物の世界を広げていけたらうれしいです。